EverQuest 本家で遊ぶのにありがちなトラブル

 最近、EverQuest 本家の Aradune という TLP サーバで遊んでいる。

 1 年以上ぶりだったので、あれこれ忘れていたことを思い出しながら設定を進めていった。PC を新調していたのもあって前の設定は何もない。かといって、バックアップから引きずり出してくるほどのものでもない。TLP サーバーだからエクスパンジョンは何本も進んでいるし、トラブルは面倒だから一から入れたほうが無難だろう。

 そんなことを考えながらスチームから入れたら、いきなり地雷を踏んだ。

 

スチーム版は避けたほうが無難

 ウィンドウの位置などの UI を適当に調整して、さぁ次の日ログインしたらどういうわけか全部元に戻っている

 ini ファイルが読み取り専用になってるのか? 前に本家で遊んでいたのは Windows 10 で、今回は 11 なので何か変わったのかなぁ。

 などとあれこれ調べてみるものの、何をしても治らない。

 でもこれ、なんかはるか昔に経験したような気もする。周りに聞いてみても、いまいち要領を得ない。

なすび「なんかそれ、前にもあった気がするんだけど。なんだっけなぁ、思い出せないなぁ」

ぺろ「そういえばスチームから入れたんだけど」

なすび「それだ!」

ぺろ「まーじーでー」

 案の定、本家 daybreak のインストーラでインストールしなおしたら治った。

 横着をして普段やらないことをやるとダメだ。

 こと MMO というジャンルで私の経験を言えばス〇ーム版がマトモだったことはほぼない。普通に遊べている人もいるので、環境やタイミングの問題かもしれない。

 

 UI を適当に配置したので次は外部ツールである。

 WoW と異なり、EQ で使う外部ツールは非常に少ない。私が使っていたのは GINA 程度である。ところがそれが

 

起動しない。

 EverQuest で遊んでいると、重要なログをピンポイントで知りたいことが多い。今時の EverQuest クライアントにはそういう用途のために Audio Triggers という便利な機能がある。でも GINA にあるような正規表現はもちろん使えない。

 GINA のアイコンをダブクリするも、ウィンドウが出てこない。調べてみると、どうやら CPU の論理コアが 16 を超えると起動しないらしい。

 この PC は 13900K という CPU で、32 コア見えている。

 コマンドプロンプトを開いて下記のようにシェルにコア数の制限を指示することで回避できるようだ。

 

C:\> cmd /C start /affinity 16 GINA.exeのパス

 

 GINA のパスは、C:\Users\ユーザ名\AppData\Local\Apps\2.0\path\path\GINA.exe のような糞みたいな場所にある。しかも個人どころかインストールするたびにパスが異なるので、Explorer などで探してほしい。

 一度起動できれば、あとは設定をすることで正常に起動できるようになる。

 Performance タブ > Enabled Processors > CPU 0 から CPU 8 程度までを選択。

 /log コマンドを毎回入力するのは面倒なので、ini ファイルに書いておく。

 キャラ毎の ini ファイルは、キャラ名_サーバ名.ini、例えば Chomusuke_aradune.ini というファイルが EQ フォルダにある。メモ帳などでそれを開いて、[Defaults] セクションに Logs=1 を追加する。

 

[Defaults]
Logs=1

 

 歳は取りたくないものだが、ここ数年で老眼が進んできたせいで、小さい文字やコントラストの低い文字を読むのが辛くなってきた。今時のゲームと異なり、EQ はスケーラブル UI という概念が未だに無く、文字サイズを変更できるのはチャットウィンドウだけであり、今時の高い解像度に合わせた文字のサイズに拡大できない。

 そのうち慣れるだろうと思っていたが、本気で解決不能なのが

 

マップの視認性の問題

 である。

 今時の EQ には、マップ機能がちゃんとある。ダンジョンなどネタバレになるゾーンは表示されないが、主要な町などはゾーン全体が表示される。

 まぁ、マップの是非といった議論はここでは割愛するとして、この UI がとにかく目に優しくない。ダークモードを進んで選択する私には結構明るめのクリーム色の背景は辛い。

 どうして文字と線が同じ色なのか? この古くて開発資源の極端に乏しいゲームには突っ込みどころが満載だからもう耳タコだが、これだけであればまだ良い。

 デフォルトのマップはすべてのダンジョンを網羅していないので、誰かが作成したマップを追加することが普通だ。多くの人は Brewall というマップを使っているのだが、このマップでは白い文字が使われていて、デフォルトの明るい背景だと可読性が相当低くなる。

 4K モニターと老眼コンボな私にはかなりきつい。

 背景のテクスチャさえ入れ替えることができればかなり改善できるはずだが、スケーラブル UI ですらない古い設計のゲームだから、通常の方法では解決できないようだ。

 この背景を決めているのは cart.tga というファイルらしいので、それを GIMP などで編集してもうちょっと輝度を下げてみる。しかし、再起動するとパッチャーが元のファイルに書き戻してしまう。この時点で解決方法はわからず、いったんあきらめる。

 その後いろいろ探してみると、もっとまともな策を見つけた。

 Dark maps という MOD だ。

 ここでは、C:\Users\Public\Daybreak Game Company\Installed Games\EverQuest を EQ フォルダと呼ぶ。

 こちら からダウンロードして展開。

 二つのフォルダ Dark Brewall と Dark Good's Maps を EQ フォルダの maps フォルダに移動。

 次に darkmaps というフォルダを作り、cart.tga ファイルをそこに入れて、darkmaps フォルダを EQ フォルダの uifiles フォルダに移動。

 EQ で /loadskin をして darkmaps を選択する。

 M キーを押して、左上のプルダウンから Dark Brewall を選択すれば完了。

 Dark Brewall は、名前から察するに Brewall の黒かった線画を白に変換したものだろう。

 文字が小さすぎる問題は依然として残っているもののかなりマシになった。

 また、この操作で分かったことは、パッチャーがファイルを書き戻してしまう問題を回避する方法だ。uifiles にフォルダを掘って、変更したファイルをそこへ入れておき、loadskin でフォルダ名を選択することでそれを回避できるようだ。

 そこから推測できることは、今もうすでに別のカスタム UI を使っている人は、そのフォルダに cart.tga を入れておけば、この MOD が使えるはずだ。

 

 そんなこんなでようやくまともな環境に近づいてきたのだが、どうにも気に入らないものがある。それが、Shadows of Luclin から〝改悪〟されたキャラクターモデルである。

 私はあのバター臭い見た目はもちろん嫌だが、それ以上にモーションがダメだった。

 

Luclin モデルは NPC だけにして、PC だけオリジナルに戻すことができる。

 ただし制約はある。

 まずクライアント側だけの処理なので他者からの見た目は変わらないし、アーマーのグラフィックスはオリジナル向けにまでデザインを用意するなんてコストのかかることはされていないので、ただのべた塗。ものすごくショボい。

 例えばコレが、

 こうなる。

 私は 20 年前のあの頃も、また P99 でも Befallen の Gossamer Robe を好んで着ていたので、こと白に限って言えば個人的に全然アリなのだが、控えめに言ってもこんなものは普通にダメだろう。

 また、騎乗モーションも作られていないので、直立したような状態で乗っている。

 それでも、あのキモいモデルで遊ぶよりかは 100 倍マシだ。

 この設定はランチャーの下にある Advanced Tool -> Game Configuration で変更することができる。

 ただ、ここで変更すると解像度まで変えてしまい、その影響で UI が全部デフォルトにリセットされるという破壊的な問題に何度も遭遇している。

 なので、できるなら直接エディタで書き換えたい。

 eqclient.ini の下記の項目で変更できる。

[Defaults]
AllLuclinPcModelsOff=1
UseLuclinHumanMale=0
UseLuclinHumanFemale=0
UseLuclinBarbarianMale=0
UseLuclinBarbarianFemale=0
UseLuclinEruditeMale=0
UseLuclinEruditeFemale=0
UseLuclinWoodElfMale=0
UseLuclinWoodElfFemale=0
UseLuclinHighElfMale=0
UseLuclinHighElfFemale=0
UseLuclinDarkElfMale=0
UseLuclinDarkElfFemale=0
UseLuclinHalfElfMale=0
UseLuclinHalfElfFemale=0
UseLuclinDwarfMale=0
UseLuclinDwarfFemale=0
UseLuclinTrollMale=0
UseLuclinTrollFemale=0
UseLuclinOgreMale=0
UseLuclinOgreFemale=0
UseLuclinHalflingMale=0
UseLuclinHalflingFemale=0
UseLuclinGnomeMale=0
UseLuclinGnomeFemale=0
UseLuclinIksarMale=0
UseLuclinIksarFemale=0
UseLuclinVahShirMale=0
UseLuclinVahShirFemale=0
UseLuclinElementals=0

 AllLuclinPcModelsOff を 1 にすれば全種族の男女をオリジナルに変更できる。eqclient.ini はグローバルな設定になるので、キャラ毎の変更はできない。

 また、種族・性別ごとに変更したい場合は AllLuclinPcModelsOff を 0 にした上で希望の種族・性別の UseLuclin 何々を 0 にする。これにも制約があって、いくつかの種族間でボーンやモーションを共有しているために依存関係がある。

  • Wood Elf を 0 にするには、High Elf, Dark Elf, Half Elf も 0 にしておく
  • Human を 0 にするには、Erudite も 0 にしておく

 つまりどういうことかというと、

 

「とにかくわしは Wood Elf と Dark Elf の Female がオリジナルだったらそれでええんじゃ!」

 というポリゴン紳士は、こうすればよい。

AllLuclinPcModelsOff=0
UseLuclinWoodElfFemale=0
UseLuclinHighElfFemale=0
UseLuclinDarkElfFemale=0
UseLuclinHalfElfFemale=0
その他の有象無象=1

 結果がこう ↓

 当時から EQ プレイヤーのブヒ需要には、とにかくこの顔が答えだった。

 この二種族が選べないクラスは Paladin, Monk, Shaman ぐらいで、14 クラス中 11 クラスをカバーしていたのも幸いだった。

 このゲームの見た目のひどさに関しては直後に湧いてきた MMO のあまりの酷さと比較しても (伝説級のダサさを誇った数々のヘルム以外は) さして問題にならなかったように思う。

 それだけこの顔によって救われていた人々がいたということだ。

 当時の我々ブヒ勢が Luclin リリース直後いかに落胆したか、この一枚の画像ですべて説明がついているのはお分かりいただけると思う。一体何をどうすればこの上のようなモデルになってしまうのか、決定権を持っていた糞ニーのハゲは極刑にしてもし足りないほどだ。

 

 ところで、私にはこの顔に因縁のある二人の忘れえぬ人々がいる。

 私がいた MM サーバの JPN コミュニティーAika という寡黙な Wood Elf Female なバードがいて、文脈からもお察しの通りの顔である。

 もう一人は、私と一緒に xp やレイドをしていた Dark Elf Male な SK の Tierra。気さくな若者で彼の家に遊びに行ったこともあった。

 そしてある日のレイドで唐突に彼がつぶやいたグループチャットを、私は 20 数年も経た今なお鮮烈に覚えている。

aika no fue fukitai」

 

 当時はともかく、今なら言える。君とはいい酒が飲めそうだと。